Substackがナチスブログを推奨するプッシュ通知を送信 – システムエラーと説明
- ニュースレター配信プラットフォームSubstackがナチス関連ブログのプッシュ通知を送信
- 通知にはナチスの象徴「卍(まんじ)」マークが含まれ、多くのユーザーが不快感を示す
- 白人至上主義者コミュニティ向けの意見やニュースを扱うブログへの購読を促すものだった
- Substackは「システムエラー」と説明し謝罪、システムを一時停止して修正を実施
- 2023年から続く同プラットフォームのナチスコンテンツ問題の一環
- 元記事:Taylor Lorenz記者による「Substack sent a push alert promoting a Nazi blog」(User Mag)
事件の概要と問題の核心
テクノロジー記者のTaylor Lorenz氏が運営するUser Magの独占報道によると、ニュースレター配信サービス大手のSubstackが7月29日(月曜日)、ナチス関連のブログを宣伝するプッシュ通知をユーザーに送信する事態が発生しました。通知には一目でナチスの象徴とわかる「卍(まんじ)」マークが含まれており、これを受信した多くのユーザーが困惑と不快感を表明しています。
問題となった通知は「NatSocToday」というニュースレターへの購読を促すもので、同ニュースレター自体が「National Socialist and White Nationalist Community(国家社会主義者・白人ナショナリストコミュニティ)」向けの週刊ニュースレターと自己紹介しています。ユーザーからは「なぜナチスブログの購読を勧められるのか」という困惑の声がSNS上に投稿されました。
継続する問題:Substackとナチスコンテンツ
実は今回の事件は突発的なものではありません。Substackは2023年から継続的にナチスや白人至上主義コンテンツの問題を抱えています。
- 2023年11月:The Atlantic誌が「卍マークや白人至上主義の象徴を使用する16のニュースレター」の存在を報道
- 2023年12月:200人以上のSubstackライターが「Substackers Against Nazis」という抗議文に署名
- 2024年1月:有名テクノロジーライターのCasey Newton氏やRyan Broderick氏がプラットフォームから離脱
- 現在:「White Rabbit」など8,600人の購読者を持つ大規模な白人至上主義ニュースレターが依然として運営中
Substack共同創設者のHamish McKenzie氏は以前「我々もナチスは嫌いだが、検閲は問題を悪化させる」として、積極的なコンテンツモデレーションを拒否する姿勢を示していました。
Substackの対応とシステムエラーの説明
今回の事件について、Substack広報担当者はUser Magに対して以下のように説明しました:
「受信すべきでないプッシュ通知を一部の人々が受信するエラーが発見されました。これらの通知の一部は極めて不快で不安をもたらすものでした。これは深刻なエラーであり、引き起こした苦痛についてお詫びします。関連システムをオフラインにし、問題を診断して、再発防止の変更を行っています。」
しかし、一部のユーザーは「Substackが最近の資金調達ラウンドに関連してエンゲージメント向上のために意図的に送信したのでは」と推測しています。実際、Substackは7月に1億ドルの資金調達を完了し、企業価値は11億ドルに達しています。
プラットフォームの構造的問題と課題
今回の問題は単なる技術的エラーを超えた、プラットフォーム運営の根本的な課題を浮き彫りにしています:
- アルゴリズム推奨システム:Substackは「Rising」リストや関連コンテンツ推奨機能により、問題のあるコンテンツが拡散される仕組みを持っている
- 収益化構造:プラットフォームは全購読料の10%を手数料として受け取るため、問題のあるコンテンツからも利益を得ている
- モデレーション方針:「表現の自由」を重視する姿勢が、ヘイトスピーチの温床となるリスクを生んでいる
問題となった「NatSocToday」は746人の購読者を獲得し、Substack内のソーシャル機能「Notes」で数百のいいねを集めていることからも、問題のあるコンテンツが一定の影響力を持っていることが分かります。
ライターとユーザーへの影響
この継続的な問題は、Substackを利用する善良なライターやユーザーにも深刻な影響を与えています:
- ライターの離脱:Margaret Atwood、Casey Newton等の著名ライターがプラットフォームを離れるか離脱を検討
- 収益への影響:「ナチスに寛容すぎる」との理由で購読を控えるユーザーが増加
- 代替プラットフォームの不足:BeehiivやPatreonなどの競合は、Substackほど充実した機能や収益化システムを提供していない
- 創作者のジレンマ:小規模クリエイターは収益の観点からSubstackを離れることが困難
まとめ:プラットフォーム責任と今後の展望
今回の事件は「技術的エラー」として処理されましたが、根本的にはプラットフォーム事業者のコンテンツ管理責任という、現代のインターネット社会が抱える重要な課題を象徴しています。特に注目すべきは以下の点です:
- 透明性の確保:アルゴリズムや推奨システムの動作原理の開示
- 一貫したポリシー:「表現の自由」と「ヘイトスピーチ規制」のバランス
- 技術的対策:問題のあるコンテンツの早期発見・対処システムの整備
- ステークホルダー対話:ライター、読者、広告主を含む関係者との継続的な協議
プッシュ通知を受信したユーザーの一人は「これがエラーだったとしても、このブログは以前より目立つようになった」と指摘しています。意図せずとも結果的にヘイトコンテンツの拡散に寄与してしまったという事実は、プラットフォーム運営の複雑さと責任の重さを示しています。
Substackは11億ドルの企業価値を持つ巨大プラットフォームとして、今後どのようなコンテンツガバナンスを構築していくのか。ユーザーと社会全体が注視している状況です。



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