親が子どもの恋愛に介入すると親子関係に影響する?
親って子どもの恋愛に口を出したくなりますよね。たとえば「こんな人とは付き合わないでほしい」とか「もっと勉強に集中してほしい」なんて。でも、そんな親の関わり方が親子関係にどう影響するかについて、興味深い研究結果が発表されました。
今回紹介するのは「When parents get involved in their kids’ love lives, it can shake up their own relationship」という記事(英語)です。この研究によると、親が子どもの恋愛に関わると親子関係に「混乱」や「動揺」が生じる可能性があることが分かりました。ただし、その影響は思っているより複雑で、単純に「介入は悪い」というわけではないようです。正直、これには私もとても驚きました。
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この記事のポイント
- 264人の大学生を対象とした本格的な心理学研究で親子関係への影響を調査
- 親の妨害的行動と支援的行動の両方が親子関係の動揺と関連
- 家族の「会話志向性」(オープンなコミュニケーション度)が結果に大きく影響
- オープンな家庭では親の支援が「お節介」と受け取られる「ブーメラン効果」も発見
- 親子関係の質が恋愛関係の健全さにも影響を与える可能性
- 適切な距離感は家庭によって異なることが判明
目次
- 親が子どもの恋愛に介入すると親子関係に影響する?
- 研究の背景と「関係動揺理論」とは?
- 研究の概要と具体的な調査データ
- 予想外に複雑だった研究結果
- 家庭によって異なる「適切な距離感」
- まとめ:親子関係と恋愛のバランスを考える
研究の背景と「関係動揺理論」とは?
この研究を行ったのは、テキサス・クリスチャン大学のポール・シュロット教授とエミリー・ステージャー氏です。興味深いのは、この研究の動機が実際の個人的経験から生まれたことです。シュロット教授は2人の若い息子の父親として、ステージャー氏は昨年結婚した若い女性として、それぞれ親子間での恋愛についての会話を実際に経験していました。
研究では「関係動揺理論(relational turbulence theory)」という心理学の理論を使いました。これは元々恋人同士の関係で使われていた理論ですが、今回初めて親子関係に応用されました。この理論では、人生の変化期に不確実性や相互影響が高まると、コミュニケーションや感情の安定性に影響が出ると考えられています。
若い大人の時期は、親に頼りたい気持ちと自立したい気持ちの間で揺れ動く複雑な時期。そんな時に恋愛が始まると、親子関係にどんな変化が起きるのかを科学的に調べたのがこの研究なんです。
研究の概要と具体的な調査データ
この研究では、恋愛中の18歳から24歳の大学生264人を対象にオンライン調査を実施しました。参加者の多くは白人、異性愛者、女性でした(この偏りも研究の限界として後で説明されています)。
調査では、参加者にランダムに選ばれた片方の親(父親または母親)との関係について詳しく質問しました。具体的には、その親が恋愛関係を「妨害」したか「支援」したか、そして現在の親子関係をどう感じているかを、確立された心理学的尺度を使って測定しました。
妨害行動は「親が恋人との時間を作りにくくする」といった質問で、支援行動は「親が恋人との問題解決を手伝ってくれる」といった質問で測定されました。親子関係の動揺度は「混乱した」「騒然とした」といった言葉で現在の関係を表現するかどうかで評価されました。
予想外に複雑だった研究結果
研究結果は予想以上に複雑でした。親の妨害行動と支援行動の両方が親子関係の動揺と関連していたのですが、その方向性は反対でした。
- 妨害的行動:親が恋愛を邪魔すると、子どもは親との関係を緊張した、混乱したものと感じやすい
- 支援的行動:親が恋愛を支援すると、子どもは親との関係を安定したものと感じやすい
ここまでは予想通りだったのですが、驚いたのはこの先です。これらの影響は、恋人についての会話の雰囲気によって説明されることが分かりました。妨害行動はネガティブな会話を生み、それが親子関係の動揺につながる。支援行動はポジティブな会話を生み、それが関係の安定につながるという仕組みです。
これには本当に驚きました。親の行動そのものよりも、それによって生まれる会話の雰囲気が親子関係に影響するなんて、人間関係の複雑さを改めて感じますね。
家庭によって異なる「適切な距離感」
さらに興味深い発見は、家庭の「会話志向性」(普段からオープンに様々なことを話し合う度合い)によって、親の関わり方の影響が大きく変わることでした。
オープンでない家庭では:
- 親の妨害的行動が親子関係により強い悪影響を与える
- 子どもが親の意見を重視する場合、この影響はさらに強まる
- 逆に、親の支援は非常にポジティブな効果を持つ
オープンな家庭では:
- 親の妨害的行動でも、親子関係への悪影響が比較的少ない(信頼関係の基盤があるため)
- 驚くことに、親の支援的行動が逆に「お節介」と受け取られて親子関係を悪化させることがある
研究者はこれを「ブーメラン効果」と呼んでいます。普段からオープンに話し合う家庭で、親が恋愛について積極的に支援しようとすると、子ども(特に親の意見を重視する子ども)はそれを「押し付けがましい」「コントロールしようとしている」と感じてしまうというのです。
私も知りませんでしたが、「良かれと思って」が必ずしも良い結果を生まないというのは、親子関係の難しさを物語っていますね。
まとめ:親子関係と恋愛のバランスを考える
今回の研究(When parents get involved in their kids’ love lives, it can shake up their own relationship)は、2025年6月14日に心理学の権威ある学術誌『Communication Research』にオンライン発表されました。
この研究から分かったのは、親の恋愛への関わり方が親子関係に与える影響は、単純な「介入は悪い」「支援は良い」という話ではないということです。家庭のコミュニケーション文化、子どもの価値観、そして会話の雰囲気など、様々な要因が複雑に絡み合って結果が決まります。
ただし、この研究にも限界があります。参加者が主に白人・異性愛者・女性の大学生に偏っていること、親の視点が含まれていないこと、一時点でのスナップショットであることなどです。今後はより多様な家庭や文化での研究が期待されます。
それでも、この研究は親として子どもの恋愛とどう向き合うかを考える重要なヒントを与えてくれます。自分の家庭のコミュニケーションスタイルを理解し、子どもの価値観を尊重しながら、適切な距離感を見つけることが大切なのかもしれませんね。
あなたはご自身の親や子どもの恋愛について、どう思いますか?この研究結果を踏まえて、ちょっと見直すきっかけになるかもしれませんね。



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