思春期男子の「信頼」とテストステロンの意外な関係とは? 最新研究を徹底解説

思春期男子の信頼感にテストステロンが影響?最新科学 科学研究
思春期男子はテストステロンが多いほど信頼を状況に応じて調整しやすいことが最新研究で判明!心の理論や戦略的信頼の発達、その根拠となる心理実験データも解説します。

思春期男子の「信頼」とテストステロンの意外な関係とは? 最新研究を徹底解説

推定読了時間:5分
この記事のポイント
  • 北京師範大学の研究で142人の思春期青少年を対象に調査
  • テストステロンと戦略的信頼感の意外なつながりが明らかに
  • 信頼調整能力は男の子で特に顕著に向上
  • 他人との駆け引きに「心の理論」が重要な影響
  • コルチゾール(ストレスホルモン)も複雑な役割を果たす
  • 研究元記事:Cortisol and testosterone may influence how teens navigate trust in social situations
目次

研究の概要と出典

今回紹介するのは、『Cortisol and testosterone may influence how teens navigate trust in social situations』という記事です。この研究は北京師範大学のRui Su教授らの研究チームが実施し、学術誌「Psychoneuroendocrinology」に掲載されました。
研究には北京の都市部学校に通う142人の10-14歳の思春期青少年(約45%が女子)が参加し、思春期の少年少女が、どのようにして人を「信頼する」か、そしてその背景にあるホルモンとの関係について詳しく調べられました。
この研究で一番重要な発見は「テストステロン値が高い思春期の男子ほど、友人と知らない人に対する信頼レベルを適切に調整する能力(戦略的信頼)が優れていた」ということです。特に男子でその傾向が強く、さらにその理由として「心の理論」が深く関わっていました。

テストステロンと戦略的信頼の関係性

この研究によるとテストステロン、つまり俗に「男らしさを高めるホルモン」とされる物質が、実は思春期の青少年にとって「信頼する・しない」の駆け引きを上手くコントロールすることに重要な役割を果たしているそうです。
研究結果では、「テストステロンレベルが高い青少年ほど、相手が誰かによって信頼レベルを調整する能力が優れており、この効果は特に男子で顕著だった」と報告されています。つまり、友達には多くの信頼を寄せる一方で、知らない人には適度に警戒するという「戦略的な信頼」ができる傾向があったのです。
私も「ホルモンがこんな複雑な社会的行動まで左右するの?」と本当に驚きました。これはたとえば、「友達同士の集まりでは盛り上がって意見を交わすのに、知らない会社の会議では最初は様子見」といった日本人の生活にも通じる部分があります。

コルチゾールの複雑な役割

この研究では、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールも重要な役割を果たしていることが分かりました。コルチゾールと信頼の関係は非常に複雑で、直接的な影響と間接的な影響の両方があることが明らかになっています。
研究では、コルチゾールレベルが低い青少年は衝動性が高く、それが一般的な信頼行動につながる一方で、コルチゾール自体は直接的には信頼を減少させる傾向があることが示されました。つまり、コルチゾールは衝動的な信頼と慎重な信頼という相反する経路を通して行動に影響を与えているのです。
さらに興味深いのは、テストステロンとコルチゾールの相互作用です。テストステロンレベルが高い時は、コルチゾールの衝動性への影響が弱まることが分かりました。これは、思春期の青少年が社会的リスクから身を守りながら人間関係を築くバランスを見つける上で重要な仕組みかもしれません。

「心の理論」とは?

今回の研究では「心の理論(Theory of Mind)」が大きなキーワードになっています。これは、「相手の考えや気持ち、意図を理解できる力」のことです。
研究では、この心の理論が高い青少年ほど、相手がどこまで信じていい存在か?といった「戦略的信頼」の判断が上手であることが分かりました。つまり、相手の立場に立って考える能力が、適切な信頼関係を築く上で重要な役割を果たしているのです。日本の「空気を読む」文化や「相手の気持ちを察する」能力にも通じるものがあり、とても興味深いですね!

心理ゲームを使った具体的検証

研究では「信頼ゲーム」と呼ばれる心理実験が行われました。これは、参加者が「自分の持ちトークンをどれだけ他人に投資するか」を決め、その結果に応じてリターンが変わるゲームです。参加者は投資者の役割を担い、友人または知らない人にトークンを渡すことができます。
ゲームのルールは以下の通りです:投資されたトークンは3倍になり、受け取った人は半分を返すか、全額を自分のものにするかを選択できます。もし相手が協力的に半分を返してくれたらお互いに利益が生まれますが、相手が全額を取ってしまったら投資者は損をします。このような仕組みを使って、友達には大胆に投資するが、知らない相手には慎重になる傾向を詳しく調べました。
私はこの実験内容を見て「まさにリアル人生でよく経験する駆け引きだな…」と感心しました。日本のビジネスシーンや学校の友人関係でも、実際に同じような信頼の判断をする場面がありますよね。
また、研究では心の理論を測定するために漫画を使った課題も実施されました。参加者は短い漫画のストーリーの登場人物の意図や感情を推測する課題に取り組み、さらに衝動性を測定するためのバルーン膨らましゲーム(リスクを取りすぎると風船が破裂してポイントを失う)も行われました。

日本人の私たちにとっての意味

この研究結果は、日本の教育や子育てを考える上でも示唆に富んでいます。思春期の男子が示す「友達には信頼を寄せるが、知らない人には慎重」という行動パターンが、実はテストステロンという生物学的基盤に支えられていることが分かったからです。
従来、こうした行動は「わがまま」や「人見知り」として捉えられがちでしたが、実際には適応的な社会的スキルの発達過程である可能性が示されました。また、「心の理論」を育てることの重要性も改めて浮き彫りになりました。相手の気持ちを理解する力を伸ばすことが、結果的により良い人間関係を築く土台になるということです。

まとめ

今回紹介した『Cortisol and testosterone may influence how teens navigate trust in social situations』の内容は、思春期の社会的発達を理解する上で非常に興味深い発見でした。
思春期男子のテストステロン──一見、力や攻撃性を象徴するホルモンが、実は「誰をどこまで信じていいか」を巧みに読み取る戦略的思考として働いていたなんて、本当に驚きでした。さらにコルチゾールとの複雑な相互作用や、心の理論の重要性も明らかになり、人間の社会的行動の奥深さを改めて感じました。
これから思春期の子どもや若者と接する時、彼らの行動の背景にあるホルモンの働きや発達過程にも思いを馳せてみてください。きっと新しい理解が生まれるはずです。皆さんは、自分の思春期時代を振り返って、このような「戦略的信頼」を使い分けていた記憶はありますか?
参考文献:Cortisol and testosterone may influence how teens navigate trust in social situations | 学術誌:Psychoneuroendocrinology | 研究機関:北京師範大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました