IRS長官が無料申告プログラム「Direct File」終了を宣言
2025年7月28日、アメリカ国税庁(IRS)のBill Long長官が税務専門家サミットで、無料で利用できる所得税申告プログラム「Direct File」の終了を発表しました。今回紹介する「IRS chief says agency plans to end free direct file program」という記事では、その背景にある政治的な事情について具体的に説明されています。
この記事のポイント
- IRS長官が「Direct Fileは終了した」と既に完了形で発言
- 終了の理由はトランプ政権の政治的判断
- 実際は30万人が利用し、94%のユーザーが高評価していた成功したサービス
- 共和党は「無駄で連邦政府の越権行為」として批判していた
- 代替の無料申告オプションは複数存在する
Direct Fileとは何だったのか
アメリカの国税庁IRSが提供していた「Direct File」は、納税者が自分で所得税申告書を作成し提出できる無料の電子申告プログラムでした。2024年に12州でパイロット版が開始され、2025年には追加で13州に拡大し、推定3000万人のアメリカ人が利用可能でした。
実際の利用実績を見ると、2025年税務シーズンには約30万人が利用し、IRSの内部調査では94%のユーザーが「excellent」または「above average」と評価していました。つまり、これは高く評価されていた成功したサービスだったのです。
終了の真の理由:政治的判断
Bill Long長官の発言は非常に率直でした。「Direct Fileのことは聞いたことがあるでしょう、それは終了しました」「美しいビリー(自分のこと、アメリカの政治家が良く使う自分を指す時の言い回し)がそれを一掃しました」「私はDirect Fileには関心がない。私は直接監査に関心がある」と述べています。
この終了は技術的な問題やサービスの失敗によるものではありません。実際の背景には、トランプ政権の「One Big Beautiful Bill」という政策パッケージがあり、その中にDirect Fileプログラムの置き換えに関する研究資金が含まれています。共和党はこのプログラムを「無駄で連邦政府の越権行為」として批判しており、トランプ政権は既に4月からDirect File終了を計画していました。
アメリカの政治的背景
これには本当に驚きました。日本では国税庁のe-Taxのような政府サービスは政治的な議論の対象になることは少ないですが、アメリカでは「政府の役割をどこまで認めるか」という根本的な政治哲学の違いが影響しています。
共和党の立場では、税務申告は民間企業が提供すべきサービスであり、政府が無料で提供することは民間企業との不公正な競争になるという考え方があります。一方で、利用者にとっては無料で使いやすいサービスがなくなることになります。政治的な判断が実用的なサービスに与える影響の典型例ですね。
代替の無料申告オプション
幸い、Direct Fileが終了しても、他の無料申告オプションは存在します:
- IRS Free File:IRSが第三者の税務申告ソフト会社と提携して提供する無料サービス
- VITA(Volunteer Income Tax Assistance):年収67,000ドル未満の納税者向けの無料対面支援プログラム
- 無料記入可能フォーム:IRSが提供する基本的な申告フォーム
私の感想:政治と実用性のジレンマ
この件で最も印象的だったのは、実際に成功していたサービス(94%が高評価)が政治的な理由で終了してしまうことです。日本では政府のデジタルサービスは比較的政治的中立性を保っていますが、アメリカでは政権交代によってこうしたサービスが大きく変わることがあるのですね。
Bill Long長官の「I don’t care about Direct File」という発言も、政治的な優先順位の変化を象徴しています。利用者にとって便利なサービスよりも、政治的な方針を優先する姿勢が明確に表れていると感じました。みなさんは、政府サービスと政治的判断の関係についてどう思いますか?
まとめ:政治的決定の影響を理解する
今回の「IRS chief says agency plans to end free direct file program」から学んだのは、成功したサービスでも政治的判断によって終了することがあるという現実です。
Direct Fileは利用者から高く評価されていましたが、「政府の役割」に対する政治的な考え方の違いによって終了しました。
これは単なる行政判断ではなく、アメリカの政治システムと価値観が反映された決定だったのです。日本の政府サービスの安定性を改めて評価したくなりますね。



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