トランプ大統領がAI競争力強化の包括戦略を発表——著作権問題では個人見解も政策は未確定
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この記事のポイント
- トランプ大統領が2025年7月23日に28ページの包括的AI戦略を発表
- 環境規制緩和でデータセンター建設を促進、国際技術輸出を拡大
- 著作権料支払いについて個人的反対を表明も、公式政策は未確定
- バイデン政権からの大幅な政策転換、中国との競争を意識
- 約90項目の推奨事項でアメリカのAI覇権を目指す戦略
目次
「America’s AI Action Plan」の全貌
今回ご紹介するのは『Trump unveils aggressive AI plan focused on deregulation, dismisses copyright payments for AI training』という記事です。
トランプ大統領が2025年7月23日に発表した「America’s AI Action Plan」は、28ページに及ぶ包括的なAI競争力強化戦略です。この計画には約90項目の推奨事項が含まれており、バイデン政権のリスク管理重視の姿勢から、イノベーション促進と規制障壁の除去に大きく舵を切った内容となっています。
ワシントンで開催されたAI Summitでトランプ大統領は、この戦略について「21世紀を決定づける競争」におけるアメリカの影響力強化を目指すものだと説明しました。特に中国との技術競争を強く意識した内容になっているのが印象的ですね。
著作権問題:個人見解と公式政策の違い
メディアで大きく注目されたのは、トランプ大統領がAI学習データの著作権料支払いについて反対意見を表明したことです。大統領は「AI企業が学習に使用したすべての記事、書籍、その他の媒体に対して支払いを求められるなら、成功するAIプログラムは期待できない」と述べました。
さらに人間が知識を得るために読書をする過程に例えて、「それにロイヤリティや契約交渉は必要ない」として、AI学習での著作物利用を正当化する見解を示しました。中国が同様の厳しい規則を適用していないことも理由に挙げ、アメリカの技術的リーダーシップが危険にさらされると警告しています。
ただし重要なのは、これはトランプ大統領の個人的見解であり、公式のAI Action Planでは著作権問題は直接的に扱われていないことです。知的財産に関する明確なガイダンスの欠如により、重要な法的問題は未解決のままで、政府当局者は「そのような争いは法廷で解決されるべき」と示唆しています。
規制緩和の具体的内容
AI Action Planの中核となるのは、大規模な規制緩和政策です。特に注目すべきは以下の点です:
データセンター建設の促進:長年続いていた環境規制を緩和し、連邦政府用地を開放し、全国的に許可承認プロセスを合理化します。データセンターを主要環境法の一部条項から除外することで、AIとクラウドコンピューティングによる急増する電力需要に対応しようとしています。
州レベル規制の連邦統制:トランプ政権は、AI企業にとって制限的すぎると判断される州レベルの規制を先制する連邦戦略を打ち出しています。「アメリカのAIの未来は単一の国家標準で管理されるべきで、各州がバラバラに設定する規則のパッチワークではいけない」という方針です。
バイデン時代の政策撤回:高度チップの輸出制限、偽情報対策を狙った大統領令、多様性・公平性・包摂性(DEI)に関する要件など、バイデン政権下で導入された複数の規則が撤回されます。
国際競争戦略と技術輸出
この計画で特に興味深いのは、アメリカのAI技術輸出を大幅に拡大する戦略です。同盟国に対して「フルスタック」輸出パッケージ(ソフトウェア、ハードウェア、データソリューション、技術標準を包含)を提供し、アメリカの技術的影響力を世界に広げることを目指しています。
これにより、Nvidia、AMD、Google、Microsoft、Metaなどのアメリカ企業が、より自由に技術を世界展開できるようになります。特に中国との技術競争において、アメリカの同盟国ネットワークを活用した戦略的優位性を確保しようとする意図が見えますね。
また連邦政府の大規模言語モデルや他の高影響AIシステムの契約は、「トップダウンのイデオロギー的偏見」がないと判断される技術のみに限定されるという方針も示されています。これは「客観的真実」と「自由な言論」の擁護を掲げる政策の一環です。
今後の展望と課題
この包括的なAI戦略は、確実にアメリカの技術政策の方向性を大きく変えることになるでしょう。ただし、いくつかの重要な課題も残されています。
著作権問題の不透明性:トランプ大統領の個人的見解にも関わらず、クリエイターや著作権者からの訴訟は継続しており、法的な解決には時間がかかりそうです。現在も多くのAI企業が著作権侵害で訴えられている状況は変わりません。
環境への影響:データセンター建設の規制緩和は、確実に環境負荷の増加をもたらします。AIの電力消費は急激に増加しており、この政策がどのような環境的影響を与えるかは注意深く見守る必要があります。
国際的な反応:アメリカがこれほど大胆な規制緩和に踏み切ることで、他国特にEUとの政策的分離がさらに進む可能性があります。グローバルなAI規制の調和が困難になるかもしれません。
日本にとっても、アメリカのこうした政策転換は大きな影響を与えるでしょう。AI技術での協力関係を維持しながら、独自の規制バランスをどう取るかが重要な課題になりそうですね。
まとめ・参考情報
この記事で紹介した内容は『Trump unveils aggressive AI plan focused on deregulation, dismisses copyright payments for AI training』の記事(TechSpot)に基づいています。
要点まとめ
- 2025年7月23日発表の28ページ・90項目の包括的AI戦略
- 著作権料支払いは大統領の個人見解、公式政策は未確定
- 環境規制緩和でデータセンター建設を大幅促進
- 同盟国への技術輸出拡大で中国との競争に対抗
- バイデン政権からの大幅な政策転換
アメリカのAI政策がこれほど大胆に転換されることで、世界の技術競争の構図も大きく変わりそうです。日本としても、この動向を注意深く見守りながら、自国の技術戦略を考えていく必要がありますね。



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