クレジットカード会社がインディーゲームの未来を脅かす?Itch.io規制の波紋

クレジットカード会社がインディーゲームの未来を脅かす?Itch.io規制の波紋 テクノロジートレンド
2025年7月、決済会社の圧力でItch.ioがNSFWコンテンツを規制。インディーゲームや芸術表現への影響を詳しく分析し、表現の自由を巡る現代的な問題を考察します。

クレジットカード会社がインディーゲームの未来を脅かす?Itch.io規制の波紋

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この記事のポイント
  • 2025年7月、クレジットカード会社の圧力でItch.ioがNSFWゲームを検索結果から除外
  • インディーゲームや芸術的表現への影響が業界で懸念されている
  • オーストラリアの団体「Collective Shout」の活動が背景に
  • 元記事『Credit Card Companies Are Hurting the Future of Video Games』(404 Media)の詳細分析
目次

Itch.ioとは?日本に馴染みがない方へ

まず、「Itch.io(イッチ・アイオー)」についてご説明します。Itch.ioは、個人の開発者や小規模なチームが独自のゲームやアート作品を無料または有料で公開・販売できるオンラインプラットフォームです。日本で例えるなら、同人誌即売会「コミケ」のデジタル版に近く、ここではゲームやデジタルアート、インタラクティブ作品など多様な表現が世界中から集まります。有名なプラットフォーム「Steam」よりも審査が緩やかで、実験的な作品や学術的なプロジェクトにも門戸が開かれています。

2025年7月の決済圧力事件とは

2025年7月後半、大手クレジットカード会社(VISA、MasterCardなど)からの圧力により、Itch.ioが全てのNSFW(成人向け)コンテンツを検索結果から除外するという事態が発生しました。この詳細は、『Credit Card Companies Are Hurting the Future of Video Games』(404 Media)という記事で詳述されています。

背景には、オーストラリアの活動団体「Collective Shout」が「No Mercy」というゲームを問題視し、SteamとItch.ioの決済会社に対して抗議活動を展開したことがあります。この圧力により、プラットフォーム側は「決済インフラを守るため」緊急対応せざるを得なくなりました。

芸術性と表現の自由への影響

今回の措置で最も懸念されているのは、単純な「成人向けゲーム」だけでなく、芸術的・学術的価値を持つ作品まで影響を受けていることです。例えば、Independent Games Festivalで大賞を受賞した「Consume Me」は、作者の摂食障害体験を描いた自伝的作品でした。これは「成人向け」というより、現代的な表現手法を使った芸術作品として評価されていたものです。

404 Media記事では、こうした作品を20世紀の写真家ロバート・メイプルソープの作品と比較し、「芸術表現としてのゲーム」が検閲されている現状を批判しています。

学術的観点から見た問題

元記事では、NYU Game CenterのNaomi Clark氏へのインタビューが大きく取り上げられています。Clark氏は以下のように指摘しています:

「ゲームが真剣なテーマを扱えないという立場に固執すれば、芸術とコミュニケーションの未来、意味のある文化の創造を阻害することになる」

特に大学教育の現場では、学生たちが最初の作品をItch.ioで公開することが一般的になっており、今回の措置は教育機会の制限にもつながりかねません。

問題なのは、何が「禁止カテゴリー」に該当するかの基準が曖昧なこと。Clark氏は「MasterCardのCEOが不快に思うものなら何でも対象になりうる」という不安定な状況を懸念しています。これは特にLGBTQ+コミュニティの表現にとって深刻な脅威となる可能性があります。

表現の自由は守られるか?今後の展望

この問題で印象的なのは、専門家たちが「決済会社の独占的権力」という構造的問題を指摘していることです。民主的なプロセスを経ることなく、少数の金融企業が文化的表現の可否を決定できる現状は、確実に問題があります。

Itch.io側も苦しい立場にあります。決済インフラを失えばプラットフォーム全体が機能停止するため、ある程度の妥協は避けられません。現在は「deindex」(検索結果からの除外)という形で対応していますが、今後さらに厳しい措置が求められる可能性もあります。

日本でも、こうした海外の動きが波及する可能性は十分にあります。表現の多様性を守るためには、決済手段の多様化や、文化的価値への理解を深める議論が必要でしょう。

あなたは、金融企業が文化的表現の可否を決める現状についてどう思いますか?これは技術と芸術、そして民主主義の交差点で起きている、現代的で複雑な問題なのです。

今回取り上げた元記事:
Credit Card Companies Are Hurting the Future of Video Games(404 Media)

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