悲しみが長引く人は要注意!死亡リスクが88%上昇する研究結果とそのメカニズム
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- 強い悲しみが続く人は、通常の人と比べて10年以内の死亡リスクが88%高くなることが判明
- 対象となるのは1,735人中わずか6%(107人)だが、深刻な健康影響が確認
- 精神的なケアや、抗うつ剤・睡眠薬などの薬を受ける頻度も大幅に高い
- デンマークの10年間追跡調査による科学的データをもとに解説
長引く悲しみ症状とは?
今回ご紹介するのは、People with persistent high grief symptoms had an 88% higher risk of dying within 10 yearsという記事です。
デンマークで行われたこの研究では、1,735人の遺族(平均年齢62歳)を10年間追跡調査しました。対象者の66%がパートナーを、27%が親を、7%がその他の大切な人を失った方々でした。
研究者たちは、悲しみの強さの変化を3年間にわたって測定し、5つの異なる「悲嘆軌道」を特定しました。その中で最も注目すべきは、継続的に強い悲しみを抱える「高悲嘆軌道」のグループでした。
死亡リスクが88%高まる研究結果の詳細
ここで大切なのは、これは「相対リスク」だということです。つまり、仮に一般的な死亡率が5%だとすると、高悲嘆グループでは約9.4%程度になるという意味で、決して「ほとんどの人が亡くなる」わけではありません。
それでも、このリスクの上昇は統計的に明確で、継続的な強い悲しみが身体の健康に深刻な影響を与える可能性を示している点は見過ごせません。
興味深いことに、このリスクの違いは研究期間の全10年間を通じて持続していました。一時的な影響ではなく、長期にわたる健康への影響があることが分かります。
医療サービス利用の大幅な増加
高悲嘆グループの人たちは、医療サービスの利用も大幅に増加していました:
・精神的な治療やカウンセリング:通常の186%高い確率で利用
・抗うつ薬の処方:なんと463%も高い確率
・鎮静剤や抗不安薬:160%高い確率で処方
これらの数字を見ると、強い悲しみが心だけでなく、睡眠障害や不安症状など、様々な心身の問題を引き起こしていることがよく分かります。日本でも心療内科を受診する方が増えている現状と重なる部分があります。
なぜリスクが高まるのか?研究者の見解
研究者たちは、なぜ強い悲しみが死亡リスクを高めるのか、その生理学的なメカニズムはまだ完全には解明されていないと正直に述べています。
ただし、これまでの研究から強い悲嘆症状と心血管疾患、精神的な問題、さらには自殺との関連が示されており、これらが複合的に影響している可能性があります。
研究者は「死亡率との関連についてはさらなる研究が必要」としており、現時点では因果関係が完全に証明されたわけではないことも重要なポイントです。
日本人にも当てはまる?私の考察と感想
この研究結果を知って、まず感じたのは「悲しみは時間が解決する」という一般的な考えだけでは不十分だということです。
私の周りにも、家族を亡くした後、長期間にわたって心身の不調に悩まされている方がいらっしゃいます。この研究を読んで、適切な専門的サポートの重要性を改めて実感しました。
特に注目したいのは、リスクの高い人を早期に特定できる可能性があるということです。医師が患者の過去の精神的な状態を把握し、喪失後の継続的なフォローアップを行うことで、深刻な状況を予防できるかもしれません。
この研究は、心の健康が生命に直結する可能性を科学的に示した重要な知見だと思います。一人で抱え込まず、適切なサポートを受ることの大切さを、多くの人に知ってほしいです。
参照元と記事タイトル
今回紹介したのは「Intense Grief Can Raise Your Risk of Death by Nearly 90%」という記事です。フロンティアズ誌に掲載された査読付きの研究論文に基づいており、科学的に信頼できる情報源となっています。
心の健康と身体の健康が密接に関連しているという事実。この知識を活かして、自分や大切な人を守るためのより良い選択ができればと思います。


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