脳が放つ超微弱な光を初検出!頭蓋骨を通過する謎の光と精神状態の関係とは
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この記事のポイント
- 2025年7月、人間の脳が放つ超微弱な光(UPEs)が頭蓋骨を通過することを初めて実証
- この光は肉眼では見えないが、精神状態(目を開ける/閉じる)で変化することが判明
- 20人の参加者による概念実証研究で、完全な暗室での測定に成功
- 研究論文:「Fascinating new neuroscience study shows the brain emits light through the skull」(iScience誌掲載)
目次
- はじめに ~脳科学の新たな扉が開いた瞬間~
- 研究の詳細:20人の参加者による厳密な実験
- 超微弱光子放出(UPEs)とは何か
- 実験結果:精神状態で変化する脳の光
- 研究の限界と今後の課題
- 将来への期待と慎重な見方
- 出典・参考資料
はじめに ~脳科学の新たな扉が開いた瞬間~
正直、このニュースを読んだとき「本当に?」と思わず声に出してしまいました。人間の脳が光を放っているなんて、まるでSF映画の話のようですよね。でも、これは2025年7月にiScience誌に掲載された、れっきとした科学研究の成果なんです。
今回の「Fascinating new neuroscience study shows the brain emits light through the skull」という研究では、私たちの脳が放つ極めて微弱な光が、実際に頭蓋骨を通り抜けて外部で検出できることが初めて実証されました。
ただし、研究者たちも強調しているように、これはまだ概念実証段階の初期研究です。過度な期待は禁物ですが、それでも脳科学の新たな可能性を示す興味深い発見だと感じています。
研究の詳細:20人の参加者による厳密な実験
この研究は、Algoma大学、Tufts大学、Wilfrid Laurier大学の研究チームが実施しました。20人の健康な成人が参加し、完全な暗室で実験が行われました。
実験の具体的な方法
- 測定装置:photomultiplier tubes(光電子増倍管)を使用
- 測定部位:後頭部(occipital)と側頭部(temporal)領域
- 同時測定:脳波(EEG)も並行して記録
- 実験時間:10分間のセッション
- 実験条件:目を開ける、閉じる、聴覚刺激を聞くなど5つの条件
この光は「ultraweak photon emissions(UPEs)」と呼ばれ、可視光から近赤外線の範囲で、私たちが普通に見える光の約100万分の1の強さしかありません。本当に微弱で、特殊な装置なしには絶対に検出できないレベルです。
私も最初は「そんな弱い光で何がわかるの?」と思いましたが、研究結果を見ると、この微弱な光にも意味のあるパターンがあることがわかってきました。
超微弱光子放出(UPEs)とは何か
実は、この超微弱な光の放出は脳だけの特別な現象ではありません。すべての生きている組織が、正常な代謝過程で極めて微弱な光を放出しています。
これは、興奮した分子がより低いエネルギー状態に戻るときに光子を放出する現象で、ホタルの発光のような特別な化学反応とは異なり、すべての組織で常に起こっている自然な現象なのです。
脳が他の臓器よりも多くの光を放出するのは、高いエネルギー消費と、フラビン、セロトニン、光を吸収・放出できるタンパク質などの光活性分子の高い濃度が理由とされています。
興味深いことに、この光子放出は酸化ストレスや老化の際に増加する傾向があり、細胞の健康状態や細胞間コミュニケーションの変化を反映している可能性があります。
実験結果:精神状態で変化する脳の光
研究で最も興味深かったのは、脳から放出される光が背景光とは明確に区別できる特徴を持っていたことです。脳のUPEsは、背景光よりも高いエントロピー(複雑性)と動的な信号を示しました。
さらに、この光は1Hz以下の独特な周波数プロファイルを持っており、約1〜10秒に1回のゆっくりとしたリズムで変動していることがわかりました。この特徴は背景光には見られず、特に後頭部領域で顕著でした。
「一番驚いたのは、参加者が目を開けたり閉じたりするだけで、この微弱な光のパターンが変化したことです。目を閉じているときのアルファ波と、後頭部からの光子放出に相関関係が見られたんです」
ただし、研究者たちは慎重で、「相関関係は控えめなもので、期待された多くの相関は現れなかった」と正直に報告しています。個人差も大きく、すべての参加者で同じ変化パターンが見られたわけではありませんでした。
研究の限界と今後の課題
研究者たち自身が強調しているように、この研究にはいくつかの重要な限界があります:
研究の限界
- 小規模な研究:参加者は20人のみ
- 限定的な測定範囲:頭部の一部分のみを測定
- 広範囲の波長検出:より具体的な光のパターンが見逃されている可能性
- 相関関係の弱さ:脳波との関係は控えめなレベル
- 概念実証段階:実用化にはまだ遠い
研究チームは、「これは概念実証のデモンストレーション」であることを明確に述べており、より精密なフィルターや検出器、機械学習技術の活用など、今後の技術改良が必要だとしています。
また、この光がニューロンから来るのか、グリア細胞から来るのか、脳のどの深さから発生しているのかなど、基本的な疑問もまだ解決されていません。
将来への期待と慎重な見方
研究者たちは、将来的には機械学習や高度な画像技術により、UPEsのパターンを解読して脳の疾患検出や脳の健康モニタリングに活用できる可能性があると述べています。
この技術の魅力は、EEGやMEGのように完全に非侵襲的(受動的記録)で高い時間分解能を持ちながら、酸化代謝に関連した情報を得られる点です。つまり、脳に何も刺激を与えることなく、脳の活動を観察できる可能性があります。
ただし、私たちは過度な期待を持たず、これがまだ基礎研究の段階であることを理解する必要があります。実際の医療応用には、さらに多くの研究と技術開発が必要でしょう。
それでも、脳科学に新たな測定手法の可能性を示したこの研究は、確実に科学の進歩に貢献していると思います。皆さんはどう感じられますか?
出典・参考資料
今回の記事は、Fascinating new neuroscience study shows the brain emits light through the skull(PsyPost, 2025年7月26日)を参考に執筆しました。
原著論文:「Exploring ultraweak photon emissions as optical markers of brain activity」(iScience誌掲載)著者:Hayley Casey, Isabella DiBerardino, Mattia Bonzanni, Nicolas Rouleau, Nirosha J. Murugan
まとめ:この研究は脳科学の新たな可能性を示していますが、まだ概念実証段階です。科学的な厳密性を保ちながら、今後の発展を見守っていきたいと思います。



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